誌面のクオリティや内容の説得力を高めるうえで欠かせない「取材」。
ライターとカメラマンのみで行く場合もありますが、編集者が同行することも少なくありません。
ケースバイケースですが、パターンとして多いのは、
アポイント取り、日程調整、カメラマンの手配→編集者
インタビュー、原稿執筆→ライター
という役割分担。
ライターが原稿を書いてくれるから編集者は何もしなくてもよいのかというと、もちろんそんなことはありません。
現場の責任者として、取材前後で編集者が行うべき準備についてお伝えします。
アポ取り後〜取材前日までにすること
アポ取りの方法については下記の記事で紹介した通り。
日程調整ができたら、前日までに次の準備を行います。
①ライターとカメラマンを手配
②取材先に事前質問書を送る(必要な場合のみ)
③ライターに資料を送る
④集合時間、集合場所の地図、緊急連絡先を関係者にメールする
⑤下調べ
②は、取材当日にどんなことを質問するかをあらかじめ対象者に書面で送ります。
別にこの通りに質問しなくても構いませんが、取材をスムーズに行うためには前もって送っておいたほうがよいでしょう。
相手にも準備がありますから、遅くても3営業日前までにはメールなどで送付します。
ライターに依頼しても構いませんし、自分で大まかに作成して、「なにか補足事項ありますか?」と聞いても構いません。
③も、早ければ早いほどよいですね。
インタビュー取材の場合、ライターにとって大変なのが対象者に関する情報集め。
過去に別の媒体(ウェブも可)で取材に応じたことがある人なら、そのときの記録を探して送ってあげましょう。
不安な場合は、事前質問書を取材当日までに返送してもらう手もあります。
ただし、取材対象者にとっては結構な手間なので、お願いする場合は相手の都合も考えてあげてくださいね。
集合場所や緊急連絡先は前日でも構いませんが、集合時間や大体の所要時間は、決まった段階ですぐにライターとカメラマンにメールします。
フリーランスで活動している人が多いので、やむを得ず時間の変更などがあれば、これも迅速に対応しましょう。
「相手の時間(=お金)を預かっている」という感覚を忘れてはいけません。
インタビューは下調べが大事っていうけれど……
インタビューを行うのはライターなので、編集者はなにも準備をする必要はないのでは?という気もするかもしれません。
しかし、当日に何が起こるかはわかりません。
ライターが体調不調で来られなくなる可能性だってあるし、電車遅延で遅れる可能性もあるわけです。
現場の責任者は、あくまで編集者。
不足の事態に備えて、時間の許す限り、質問内容の確認などを行います。
取材当日にやること
遅刻しないように、余裕を持って現場に向かいます。
基本的にやることは3つだけ。
①ラフ、企画書、台割、事前質問書など資料を人数分プリントアウト
②スムーズに取材が行われるように段取りをする
③ボイスレコーダーの記録
①は、もちろん前日までに準備しておいても構いません。
基本的に、何も言わなくてもライターは自分で資料を持ってきますが、忘れている場合もあるので、人数分持っていきます。
③のボイスレコーダーも一緒ですね。
ライターが持ってくるのを忘れていたり、録音が失敗したりしたときに備えます。
②は、とにかく皆が気持ちよく仕事ができるように裏方に徹すること。
言葉にすると単純なことなのですが、意外とやることは多いのです。
目的地まで迷わず行けるようにナビゲート
集合場所は駅になると思いますが、駅から目的地までの道のり、敷地内の建物の位置などで迷ってしまう可能性があります。
特に大学や官公庁などは「まずは第〇〇棟にお越しください」と指定されることが多いのですが、「着いたら何とかなるっしょ!」という甘い考えは危険です。
プライベートの用事ならそれでも構いませんが、同じ場所をぐるぐる回ったり、迷ってしまったりすると、メンバーの志気も下がってしまうもの。
公式ホームページなどで確認して、なるべく一発で目的地にたどり着けるようにしておきましょう。
撮影の打ち合わせ
撮影する部屋を見て、カメラマンが構図を決めます。
机を片付ける必要があれば、率先してすばやく動きましょう。
原状復帰が基本なので、物を動かした場合は場所を覚えておきます。
複数のカットが必要な場合や移動がある場合、所要時間を頭に入れつつ取材を始めます。
相手は仕事の合間を縫って、協力してくれています。
なるべくロスタイムを短くすることが大切です。
趣旨の説明をする
取材対象者には、あらかじめ資料を送っているものですが、あらためて資料を見せながら、口頭で簡単に説明をします。
和やかなムードで取材が進められるように、雑談を交えてもよいかもしれません。
定番は、天気の話や時事ネタ、出身地が一緒、洋服を褒める、などでしょうか。
リラックスできるムードをつくる
趣旨を説明したら、あとはライターにバトンタッチです。
「取材中に編集者に口を挟まれるとやりづらい」と考えるライターが多いので、基本的には見守る姿勢がよいでしょう。
相手が話しているときはにこやかに、横で大きめにリアクションしたり、頷いたりすると、「話しやすいな」という印象を持ってもらえます。
やりすぎは禁物ですが。
必要な話が引き出せるように適宜コントロール
取材対象者にも色んな人がいるので、終始無愛想だったり、話が脱線しすぎたりすることもしばしば。
ライターが手をこまねいている様子だったら、助け舟を出してあげられる編集者はとても頼りになります。
と偉そうに言いつつ、実は私もそんなに上手くないのですが……。
以前テレビ番組で、芸人が「優秀なディレクターは、収録しながら頭の中で編集している」と言っていましたが、そういう感覚でいるとよいかもしれません。
つまり、「もうこの話は撮れ高が十分だ」と思ったら別の話にスライドできるように誘導したり、あまり盛り上がらない話に固執せず、盛り上がったほうの話が中心になるように企画内容を調整したり、といった感じですね。
取材後にやること
取材対象者には、丁寧にお礼を述べ、「後日、原稿を送ります」と言って締めます。
帰りの駅に向かうまでに、ライターやカメラマンと簡単に打ち合わせしましょう。
カメラマンには、写真を納品してもらうまでのスケジュールを伝えます。
ライターには、「今日の話のなかで、〇〇の部分を中心に書いてください」などと伝えます。
話を聞くなかで当初の予定と変わることは往々にしてあることなので、そこは気にしなくてOKです。
まとめ
ポイントは2つ!
「責任者としての役割を果たすこと」と「皆が気持ちよく仕事ができるように裏方に徹すること」。
よい誌面ができるかどうかは、よい取材ができるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
取材の前後はバタバタとするものですが、準備を怠らないようにしましょう!