株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン代表取締役会長の伊藤守さんのインタビュー記事がアップされました。コミュニケーションの意味や目的についてお聞きしています。
コミュニケーションの本当の目的とは?
「『コミュニケーションはこうあるべき』という思い込みから脱却することを目指している」と語るように、確かに伊藤さんのお話や本には「こうすべき」というようなことは一切書かれていません。読み手の理解に任されているような印象を受けます。
ライターの仕事をしている人は①具体的に、②客観的に、③論理的に、④結論(締め)を書く訓練を受けてきていると思うのですが、ともすれば断定的な言い方になりがち。(たまに友人に指摘される)
今回、特にその点は気を付けたところです。
さて、お話の中で印象に残ったのは以下の箇所。
人と話していると、昨日までの解釈と、明日からの解釈が変わっていくことがあります。相手を変えようとするのではなく、話し合うことで、2人の間で結果的に新しい意味をつくり出す。それがコミュニケーションの本当の目的かもしれないですね。
具体的にどういうことか考えてみました。
「好きな色」「嫌いな色」にもその人の価値観が表れる
伊藤さんの著書のなかで、職場の女性とインテリアを巡って言い争いに発展したエピソードが紹介されています。
グリーンのインテリアが良いんじゃないかという伊藤さんに対し、「グリーンだけは絶対に嫌。そんなセンスは信じられない」と女性。
多くの人は職場の人間とそこまで深く関ろうとは思わないですし、カチンときて終わりかもしれません。でも、伊藤さんが「なんでそんなにグリーンが嫌なの?」と一歩踏み込んだ質問をしたところ、女性は無自覚だった過去のトラウマめいたものに気付きます。
逆に、伊藤さんは慣れない海外生活でグリーンに癒されていた経験を思い出しました。
当初のコミュニケーションの目的は「部屋のインテリアをどうするか」でしたが、ひょんなことからお互いの価値観を知ることになり、二人の関係性はとても良くなったそうです。
「コミュニケーション上手」を目指すべからず
コミュニケーションの目的は、その時、その状況、その人によって変わっていくもの。例えばインタビューする目的は「良い記事を書くこと」なので、関係ない話は省略することもありますし、相手が答えやすい質問の仕方を意識して話を展開していきます。
これが、「相手と仲良くなること」を目的とした場合、全く話し方は変わるでしょう。自己開示のために自分の話をしたり、オチの無い話で盛り上がったり……。
正解は無いのだから、人との会話のあと、家に帰ってから「もっと出来たはずなのに」と後悔する自分には驕りがあるのかもしれませんね。興味のベクトルが相手ではなく自分に向いている証拠です。
コミュニケーションの上達を目指すのではなく、目の前の人に正しく興味を持ち、楽しい時間を過ごすことに努めたいなと思います。