前回、「ラフの書き方」について解説しましたが、前提となるレイアウトがわかっていないと難しいかもしれません。
「レイアウトを組むのはデザイナーの仕事」と思って、まかせっきりにしていませんか?
完成形が想定できていないラフだと、デザイナーの負担が増えるうえ、上手くイメージを共有することができません。
最悪の場合、やり直しなんていうことも。
そこで、編集者が最低限押さえておきたい雑誌レイアウトのポイントを紹介します。
まずは各部の名称から
ページ内の名称は上の図の通りです。
ページの上部を「天」、ページの下部を「地」と呼びます。
また、本を綴じている側を「ノド」、ページをめくる側を「小口」といいます。
本の綴じ方とページ数によってはノドがかなり広くなってしまうので、十分な余白を持ったレイアウトが必要です。
そして、四隅にある「内トンボ」同士を線で結んだ線(仕上がり線)で出来上がる面が、実際に本になるサイズです。
しかし、仕上がり線ギリギリに文字や写真を載せてしまうと、印刷したときに切れてしまう可能性があります。
そのため、最低でも仕上がり線の内側3mmの余白(マージン)を持たせるのがよいとされています。
逆に、写真を誌面いっぱいに載せたい、というレイアウトもあります。
その場合は、仕上がり線の外側3mm「裁ち落とし線」まで写真を伸ばしていれます。
裁ち落とし、塗りたし、ドブなど、さまざまな呼び方がありますね。
まあマージンや裁ち落としを調整するのはデザイナーと印刷所の仕事なのですが、色校正のときなどに聞かれることが多いので知っておいてください。
目線の流れを知ろう
本には、「右綴じ」と「左綴じ」の2種類があります。
それぞれの違いを見てみましょう。
<右綴じ>
・小説、漫画、雑誌、実用書、国語の教科書などに多い
・表紙から見て、右側に背表紙がある
・本文は縦書き
・目線は右上から左下へと動く
<左綴じ>
・絵本、写真集、英語の教科書などに多い
・表紙から見て、左側に背表紙がある
・本文は横書き
・目線は左上から右下へと動く
第3回で紹介したラフは、右綴じの場合を想定しています。
目線は右から左へと流れるので、優先順位の高いものから順に右に置いています。
一番オーソドックスなやり方ですね。
左綴じの場合は、左上にタイトルを置き、右下に流れるように配置するときれいに収まります。
絶対にこうしなきゃいけないというわけではありませんが、慣れるまでは基本の形で書くのがオススメです。
ページを分割して考えよう
ラフをつくる上で、いきなり書き始めるのではなく、段組みを意識したり、ページを4分割に分けて考えたりすると上手くはまります。
実際に、上下左右にラインを引いてもよいでしょう。
基本は「均等にそろえること」。崩すのは、慣れてからです。
上の図は、5段組みのレイアウト見本。
大体、4段組みか5段組みの本が多いんじゃないかと思います。
次のようなステップで考えましょう。
(1)タイトルで1段 or 2段分使用
(2)残りで本文を組み立てる
(3)見開き単位で、上下左右をそろえる
例えば、左ページは5段組み、右ページは4段組みでのレイアウトは基本的にNG。
またまた登場しますが、こちらのラフも、写真と本文を入れる位置が、横一列にそろっていますね。
ただ、オーソドックスなやり方だと単調になるので、ページ数が多い本の場合は色々とバリエーションがあったほうがよいでしょう。
基本に倣って、アレンジを加えてみよう!
WEBの場合、基本的に目線は上から下へしか流れません。
しかし、本の場合だと「最も大きいもの」や「最も色が濃いもの」に最初に目が行くという特徴があるので、さまざまなレイアウトで遊ぶことが可能になります。
★右下にタイトル
右綴じ用。左綴じの場合だと、本文がほぼ無くて、中央に写真をドドーン!と持ってくるレイアウトならアリかも。
ファッション誌とか、おしゃれ系雑誌みたいな。
情報誌など、本文が多い場合、左綴じで右下にタイトルを置くっていうのは基本的には無いですね。
★中央にタイトル
これは右綴じ、左綴じの両方いけそう。
旅行雑誌の場合、おみやげページでこういうレイアウトが多いです。
タイトルを中央に持ってきて、そのまわりに切り抜きの写真を散らすようなイメージですね。
ほかには、タイトルを見開きでページ下部に持ってくるレイアウトもあります。
メインとなる写真との組み合わせも大切ですね。
まとめ
繰り返しますが、基本は「上下左右をそろえること」。
あとは、目線の流れがスムーズになるように意識してレイアウトを組んでみてください。
バリエーションがほしいなと思ったら、とにかくほかの雑誌を研究すること。
色々なジャンルの本を本屋さんで眺めているだけでも、知識として蓄積されていきますよ。
勉強あるのみ!