前回の記事では、ライターから送られてきた原稿のチェック項目を紹介しました。
見るべき項目はたくさんあるのですが、ライターが経験不足であったり、企画意図を理解していなかったりした場合、丸ごとリライトする必要性が出てきます。
お金を払って発注しているのに、これでは時間もコストも無駄になってしまいます。
そこで、スムーズに書き直しをお願いする方法について考えてみました。
まずは契約内容を確認しよう
仕事の前に契約書を交わしている場合、内容を確認しましょう。
編集部が主体となって作成した契約書には、おそらく「検査不合格の場合は再提出」などど記載されていると思います。
一方で、ライターからの要望により、修正の場合の追加料金が記載されていることも。
まあ口約束の場合も多いですけどね。
わからない人は、「修正を頼んでいいですか?」と上司に聞いてください。
自分に落ち度はなかったかを振り返る
日本語もなってないし、支離滅裂な原稿が送られてきた場合。
「もう全然ダメじゃない!キィーーー!!!」となってしまう気持ちもわかりますが、一旦冷静になりましょう。
上手くいかなかった原因の7割は、発注側にあるものです。
適当に打ち合わせして、「とりあえずやってみて!」「任せるよ!」と調子のよいことを言っていたのに、いざ出来上がってきたものを見てイチャモンをつける編集者の多いこと多いこと。
だったら最初に言えってんだ。
こういう人って想像力が致命的に欠けているんですよね。
完成したものを見せないと判断できないのです。
恨むなら相手のスキルではなく、自分の監督能力不足を恨みましょう。
そうしたすれ違いを防ぐためにもラフや企画書があるのです。
作り上げたいイメージがあるのなら誰かに丸投げにしないで、きちんと自分で作り込みましょう。
それでも修正してほしい場合は?
以上を踏まえて、修正を依頼するときの注意点です。
最初に申し上げておきますが、今から私の言うことが「正解」とは限りません。
なぜなら、価値観や「どういう言い方をしたら伝わるのか」は、人によって完全に違うから。
あくまで「私が心がけていること」としてお伝えしていきたいと思います。
ポイントは5つあります。
(1)修正してほしい理由を明確に述べる
(2)自分でも調べて具体的に提案する
(3)自分の落ち度は素直に認めて謝罪する
(4)誰かのせいにしない
(5)良い部分はほめる
ひとつずつ紹介します。
1.修正してほしい理由を明確に述べる
私が徹底していること、それは「自分の好みで赤入れしない」。
意味が通じるのであれば、ライターの原稿をそのまま活かす方針を貫いています。
基本的には、「自分が作ったものを改変されて嬉しい」という人は、あまりいないと思いますので。
だから、修正してほしい場合は理由を明確に述べましょう。
「ここでは一般読者を対象としています。玄人向けの文章になっていますが、もう少し入門的な内容も入れて、文体もやわらかくしてほしいです」など。
その際、併せて必要なのが次の項目です。
2.自分でも調べて具体的に提案する
これができていない人はヒジョーーに多いです。
「この部分にコレ入りますか?」と、一言だけ。
それが的を射た指摘ならまだしも、まったくの見当違いであることもしばしば。
そもそも、「相手も知っているはず」という前提で話を進めてはダメです。
思いつきで言ってんのかなコイツ?と思われても仕方ないですね。
一方、「〇〇の統計で××という結果が出ているらしいんですけど、ちょうと時期的にもタイムリーだし、載せられませんか?資料添付しますね!」と言われたらどうでしょうか?
何をやりたいのかが明確にわかるし、自分で一から調べる手間が省けるので、きっと修正の時間もさほどかからないでしょう。
基本的に、デザイナーに修正を依頼するときと、心構えは一緒です。
ただしデザイナーには、あまり細かく指示し過ぎると自由なイメージが制限される可能性があるのですが、ライターにはなるべく具体的に伝えたほうがよいと思います。
3.自分の落ち度は素直に認めて謝罪する
これも大事ですね。
最初に予定していたことと方針が変わることは、ビジネスでは多々あると思います。
でも、割を食うのはいつだって末端の人間。
仕方ないといえば仕方ないのですが、そんなとき、「最初に言ったことと変わっちゃってすみません」と一言あるかないかで、受け手の印象は大きく変わると言ってよいでしょう。
自分の非は認めず傲慢な態度をとる人と、自分のことを尊重し、素直に謝ってくれる人。
どちらと親しくしたいかは、考えるまでもないですね。
4.誰かのせいにしない
特に会社員の場合だと、自分はそうは思わないけれど、上司の意見を聞かなくてはならない場面も多々あります。
でも、上司の意見を突っぱねることもできたのに、そうしなかったのは紛れもなく自分自身です。
だから、「上司がこうやって言ってるんで〜」と外部の人に伝えるのはみっともないのでやめましょう。
まあ、正直に伝えたほうが相手側が同情してくれることもあるので、ケースバイケースですけどね^^
でも、それができるのは上司がモンスターであることをライターも認識していて、ライターとの間に信頼関係ができあがったときだけですよ!
5.良い部分はほめる
これは仕事以外でもとても大事な技術だと思うのですが、
「ここが違うから直してください」と言われるのと、
「この部分はとても素敵ですね。あと、ここを直したらもっとよくなると思うのですがいかがですか?」と言われるのとでは、まるで印象は違いますよね。
相手に気持ちよく仕事をしてもらうために、意識してみることをオススメします。
まとめ
上記は人として当たり前の内容ばかりですが、できていない人は意外にも多いです。
「この人にはこういう言い方をしたほうが伝わるな」という感覚はなかなかすぐに身につくものではありませんが、今回紹介した5つは、今日からでも実践できるものばかり。
コミュニケーションはテクニックというより、「相手を尊重する」という心持ちがもっとも大切なのだと思います。
どんなにダメダメな原稿でも貴重な時間を割いて作業してくれたことには変わりありませんから、その部分は忘れずにいたいものです。