原稿やデザインなど、他人の制作物に対して修正してほしい箇所を赤字で書き加えることを「赤入れ」といいます。
ライターやデザイナーなど、制作者本人は、ときにまわりが見えなくなってしまうもの。
絶対に入れなくてはいけない言葉が抜けていたり、途中で辻褄が合わなくなってしまったり。
重大なミスを防ぎ、制作物のクオリティを上げるために、客観的視点で「赤入れ」する作業は非常に重要です。
しかし、「仕事ができない人ほど赤入れが多い」というのもまた事実。
そんな困った人たちの共通点をまとめてみました。
1:赤入れをすることが仕事だと思っている
別に問題がないならそのままOKを出せばいいのですが、赤入れをしないと仕事をした気にならないのか、どこかに自分の痕跡を残そうとしているのか。
でも、これって出版社の悪習だと思うんですよ。
私は基本的にはライターの原稿を活かすスタンスですが、ある日先輩社員が外部ライターの原稿に赤入れした原稿を見ると、それはもう真っ赤になっていまして。
「コレってあんたの好みでは……?」と思う反面、「もしかしたら私は仕事していないのか?」と若干不安になったのを覚えています。
また、編集長クラスになると、「自分の威厳を示したい!」なんて場合も。
こういう上司や先輩の下に就いた新入社員は、躍起になって赤入れしようとするでしょうね。
2:事前に説明しない
赤入れが多い人は、必ずと言っていいほど事前にきちんとディレクションをしません。
口癖は、「とりあえずやってみて」「任せるよ」。
ディレクションとは、ターゲット設定や企画コンセプトなどを伝え、完成までのイメージをチーム全員で共有し、指示することです。
そこから大幅に外れているものや、著しくクオリティの低いものが上がってきたら、修正させるのは当然です。
ですが、大抵指摘が入るのは「え、聞いてないけど……?」「それをしてほしいなら最初に言えよ」というようなもの。
媒体により当然ターゲットやコンセプトは違いますし、異なる文化や価値観を持った人間同士ですから、言葉無くして分かり合うことは不可能です。
でも、彼らは事前に説明しないのではなく、できないのです。その理由が次。
3:想像力が欠けている
なぜ完成版が仕上がってからたくさん赤入れするかというと、完成版を見ないと判断できないからです。
ラフや打ち合わせから、途中経過や完成形をイメージする能力が著しく低いんですね。
こういう人は修正指示も曖昧だったりします。
まぁ「思っていたものと違った」ということは大なり小なり誰でも起こり得るものですが、一番マズイのは他人の気持ちに対する想像力も欠けている点です。
・この作業をする上で、この人はどれだけの時間を要したのか=自分(会社)のためにどれだけ時間を使ってくれたのか
・自分が作ったものを否定されたら、どんな気持ちになるか
・自分にとっての常識と、この人の常識は違う
この三点さえ胸に刻んでおけば、適切な言葉は自然と出てくるはずです。
仕事なので変に気を遣ったり媚を売ったりする必要はありませんが、なかには何でそんなにケンカ腰なの?と驚くほどの言葉のチョイスをしてくる人もいますからね。
そういう人は、次の特徴に当てはまります。
4:実はビビリ
赤入れした原稿は、メールなり本人に直接突き返すなりしますが、このとき特に何も言わない人がいます。
「見たらわかるから」とでも言わんばかりに。
相手を育てるつもりがあるか、コミュニケーションをとるつもりがある人なら、こんな言葉を掛けます。
「若い女性がターゲットだから、もっとこうした方がいいと思うんだ。細かい言い回しの部分の赤字は無視していいから!」
「ごめん、私が伝え忘れてたかもしれないんだけど、タイトルが変更になったらからココも調整してほしい」
「こういう意図で赤字を入れさせてもらったよ。もし意味わかんないところがあったら聞いて!」
など。
それをしない人は想像力が無いのもありますが、経験上「実はビビリ」な人が多い。
つまり、紙の上では言いたい放題できるけど、人と真っ向から向き合うことは避けてきたんじゃないでしょうか。
もしかしたら、赤入れをたくさんしてしまったことに対する後ろめたさもあるかもしれませんね。
だから、面と向かって「何でこんなに直さなきゃいけないんですか!!ふざけるなよ!」とブチ切れたらたぶん勝てます。
代わりに色々なものを失うけど(笑)
まとめ
というわけで、「赤入れが多い人の共通点」でした。
結論としては、赤入れの是非ではなく、大事なのはコミュニケーション。
単に「コレ直しておいて」と言われるか、「〇〇だから、こう直してほしい」と言われるかなら、あなたはどちらの人と一緒に仕事をしたいですか?
言い方ひとつで、修正指示をもらった側のモチベーションは大きく変わります。
事前にきちんと話し合い、認識のズレを極力少なくしておくこと、軌道修正が必要な場合はフォローの言葉を掛けることに気をつければ、不要な赤入れは少なくなるのではないでしょうか。