6月11日から一挙再放送中のTBSドラマ『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(2010年)。
常識では考えられない特殊能力(SPEC)を持つ犯罪者との攻防が描かれる、異色の刑事ドラマです。
このドラマ、同じ堤幸彦監督・西荻弓絵脚本作品『ケイゾク』の続編であることは有名な話ですが、実は『SPEC』初見の私、まーったく知りませんでした!
というわけで、久々に観たくなった人も多いであろう『ケイゾク』のお話です。
『ケイゾク』ってどんなドラマ?
1999年、世紀末に放送されていたドラマ『ケイゾク』。
東大出のキャリア・柴田純(中谷美紀)と真山徹(渡部篤郎)がバディを組み、迷宮入りした事件を解決していくという刑事ドラマです。
個性豊かなキャラクターや斬新な演出、ツッコミどころ満載の大胆なトリックが話題になりました。
1990年代の刑事ドラマといえば『踊る大捜査線』や『古畑任三郎』に代表されるように、明るくコミカルな作風が一般的でしたが、『ケイゾク』はというと、所々ギャグを交えつつも、全体的に漂う雰囲気は陰鬱。
これは若かりし渡部篤郎がイイ仕事してます。しかしハンサムですな〜。
当時小学生だった私は、夜更かしできる金曜日の放送を待ちわび、毎週ドキドキしながら鑑賞していたものです。
前半は一話完結型の純粋な「推理モノ」ですが、後半に向けて宿敵・朝倉との戦いが中心に描かれます。
後半から、段々とついていけなくなるんだよな〜。
でも、朝倉の存在が『SPEC』への重要な布石なのだとか。
大人になってから観ると、また違う感想を持つかもしれませんね。
<ネタバレ>第一話「死者からの電話」カンタン解説
ちなみに、「ツッコミどころ満載のトリック」がどんなものかといいますと……。
第一話では、柴田が配属された警視庁捜査一課弐係に「死んだはずの男から電話があった」という市民からの相談が持ち込まれます。
死んだ男の名前は会社員・多田。何者かに刃物でメッタ刺しにされたあと、ビルから突き落とされました。
発見当時、顔が判別できないほどにつぶれていましたが、歯型が一致したことで多田の遺体だと判定されたようです。
容疑を掛けられたのは、多田の上司である太田浩二。
多田を可愛がっていましたが、会社での不正や女遊びを告発されたことで、多田を激しく憎んでいました。
太田はすぐに指名手配されるも、現在まで消息不明。
そこで、柴田たちは太田の奥さんに話を聞きに行くことにします。
早めに分かる犯人と驚きのトリック
最初の登場から怪しさ満載ですが、犯人はこの奥さんです。
実は、殺されたのは多田ではなく太田。奥さんと多田は実はデキていて、二人で共謀して太田を殺したのでした。
この“死体のすり替わりトリック”を成功させたもの、それは歯型。
「多田」は、「タダ」とも読むが、「オオタ」とも読む。
奥さんは旦那の歯科通いに付き添い、「多田の保険証を提出し」、「問診票に『オオタ』のフリガナをふる」ことで、太田の歯型を多田の歯型と記録させる……というのが、事件の真相でした。
え、DNA鑑定しないの??
二人の背格好かなり違うけど、誰も気づかないんかーい
血液型とか……なんか他に調べる方法あるだろっ!!!
てな具合で物語は進みます。
余談ですが、なんかやたら四日市出てくるな〜と思ってたら、堤監督が四日市出身みたいですね。
伝説の「壁動かしトリック」
日本中がツッコミを入れた伝説回、それは第3話『盗聴された殺人』。
夫を殺されるも迷宮入りとなった事件の遺族・竹下美奈子(松田美由紀)。
ある日、夫の愛人が犯人だ、との証言をしに弐係を訪ねます。
とはいえ、証拠は皆無。
日本では当然違法捜査ですが、愛人宅に盗聴器を仕掛けて張り込むことになりました。
刑事たちが張り込むなか、愛人は撲殺されてしまいます。
現場に居合わせた男が逮捕されますが、「自分が彼女の部屋に行ったとき、部屋はもぬけの殻だった」と男。
このトリックの鍵は、男が女の部屋を「4階の一番奥の部屋」としか認識していなかった点にあります。
男が女の部屋を訪ねてきたとき、マンションの廊下には偽の壁がありました。
空室である隣室を「女の部屋」だと思い込ませていたのです。
そして、刑事たちが駆けつける前に壁を撤去。本当の殺害現場と遺体が顔を出す、というわけです。
その壁、どうやって持ち込んだんだ……w
今でも鮮明に覚えている、斬新すぎるトリックでした。
まとめ
『ケイゾク』と『SPEC』は、オープニングロールやエンドロールなど、随所で両作品が同じ世界観であることが感じ取れますね。
DVD版は各話の冒頭に野々村係長と雅ちゃんの話がありますが、あれは明らかに有村架純ではないよね?と思ったらなにやら色々カラクリがあるみたいですね。
個人的には、『SPEC』の小ネタとギャグテイストをもう少し抑えてくれたほうが観やすいのだけれど……。
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