昨今の若者に伝えたい、テレビドラマ5つの魅力【前編】

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テレビドラマを観る理由

インターネットやYouTubeなどの普及に伴い、若者を中心にテレビを持たない人が増えています。

私が子どもの頃は娯楽=テレビで、学校での話題はもっぱら前日のテレビ番組のこと。テレビを観る習慣がない子は軽く疎外感を感じていたと思いますが、今はそんなこともないのでしょうね。

 

趣味や価値観がこれだけ多様化した今、テレビを観るも観ないも個人の自由ですが、「テレビなんて時間の無駄」と、やたら攻撃的な人がいるのも事実。

テレビっ子代表として、またジャンルは違えど制作に関わる者のはしくれとして、作り手が命をかけているものを真っ向から否定する人の意見を見過ごすわけにはいきません。

 

そこで今回は、各番組の第1話は好みに関わらず必ずチェックすることを心がけているドラマウォッチャーが、テレビドラマの魅力について存分に解説します。

 

受動的であるがゆえの出会い

テレビや新聞は、配信者から対象者へ、情報を一方通行に届ける「受動型」。

一方、インターネットは配信者と対象者、相互の伝達が可能である「能動型」のメディアであるとよくいわれています。

 

前者は特に目的意識を持たなくても自然と情報が入ってくるのに対し、後者は「知りたい」という欲求のもと、自ら検索をかけなくては情報は拾えません。

 

決してどちらが良い・悪いということを言いたいわけではありませんが、

ひとつ言えることは、インターネットやYouTubeの鑑賞により「自分の興味のある分野以外の知見が得られることは少ない」ということではないでしょうか。

そもそも興味がなかったらクリックしませんからね。

 

コミュニケーションスキルとも関連するのでは?

自分の興味のある話題にはのっかるけど、興味のない話題はあからさまにスルーする人って多いですよね。

少し話は飛躍しますが、能動型メディアが増えることは、他人に興味のない人間を今後ますます量産することにもつながるのでは……という気もしています。

 

私がこれまでに出会ってきた、「この人おもしろいなあ」「何でもよく知ってるな」と感じた人は、皆テレビにも詳しかったです。

 

これは決して、テレビ好き=見識が広いということではなく、「興味の幅が広い」のだと思います。

物知りな人って好奇心旺盛ですよね。

だから何事にも「興味がない」って決めつけることがないんです。

テレビ鑑賞というのは、例えるなら、あまり親しくない同僚同士の会話に耳を傾けたり、カフェや電車で偶然隣の席になった人の会話が聞こえてきてしまったりしたときの感覚に似ています。

 

「へ~、そんなのが流行っているんだ。」とか「こういう人も世の中にいるんだな。」とかですね。

 

つまり、なんとなくテレビをつけているだけでも、「思いもよらない情報や考え」にふれる機会は圧倒的に多いのです。

 

音楽への関心。新しい趣味との出会い

具体的に例を挙げると、私は昨年末ごろから、テレビ朝日の『関ジャム 完全燃SHOW』を毎週熱心に観ています。

 

これは、作詞家や音楽プロデューサー、振付師など、ふだんは裏方に徹している人たちが、プロの目線で音楽について語る番組です。

 

それまでは、YouTubeで聴くのも昔流行った曲ばかりだったし、「いい曲だな」とは思ってもそれ以上調べようという気にはなりませんでしたが、この番組をきっかけにミュージシャンの方々へのリスペクトが強まりました。

あと、2019年秋に放送されていた『G線上のあなたと私』という大人のバイオリン教室を舞台としたドラマを観ていたら自分も音楽を習いたくなって、今月からフルート教室に通い始めることに。

 

社会人になってから10年。夢中になれる趣味を探し続けてきて、ようやくめぐり会えたという感じです。何がきっかけになるかわからないものですね。

 

確かにテレビで扱われる情報は透明性に欠け、かんたんに印象操作ができてしまうといった注意点もあります。

私の行動も、「影響されやすいヤツだな」と感じる人もいるかもしれません。

 

しかし、「受動的」であるがゆえのメリットが、こうした「未知との出会い」にあるのです。

 

第三者視点のメッセージがある

誰にも言えない悩みを持っていたり、話してはみたものの「なんかしっくりこない」といった経験はないでしょうか。

私は性格が悪いので、助言してきた人の人間性によっては「お前が言うなよ。」と思ってしまうこともあります。

例えば、

 

・子どものいない人が子育て中の女性にアドバイスをする

・明らかにモテなさそうな人が恋愛について説く

・太っている人が自己管理について語る

・「努力が大事」というが、その人自身が何かを頑張っているわけではない

 

などがイメージしやすいのではないでしょうか。

知り合いだからこそ起こる弊害ですね。

 

でも、テレビドラマの主人公はフィクションの人物です。

そこから発せられるメッセージに、基本的に利害関係はありません。

しかも、それを書いている脚本家は言葉のプロ。

だからストンと腑に落ちることが多いし、胸を打たれるのです。

 

夢を追うすべての人へ。朝ドラ『スカーレット』

今だと、NHKの連続テレビ小説『スカーレット』がよいですね。

主人公・喜美子は、穴窯で陶芸作品を創ることを目標として掲げるも、薪代としてかかる膨大な費用、夫の反対、世間の目など、さまざまな壁が立ちふさがります。

ですが、尊敬する師匠・フカ先生の

 

「何かやろうと思ったときにお金がないことに気持ちが負けたらあかん」

 

という言葉を胸に、逆境に立ち向かいます。

借金はするし夫とは心が離れてしまうけれど、喜美子は最終的に陶芸家として成功しました。

これは突き刺さりましたね。

 

「お金がない」を言い訳にするのは、結局は楽な方に逃げているだけ。

それから、成功するには大なり小なり犠牲が出るもので、それを怖がっていては望むものは手に入らないんだな……ということをひしひしと感じました。

 

観る人を勇気づけたり、励ましたり、背中を押してくれたりするもの。それがテレビドラマです。

 

時代背景が投影されている

テレビドラマには、その時代の価値観、特に「女性のあり方」が色濃く映し出されています。

平成に入ってからだと、

 

・『東京ラブストーリー』(1991) …女性の社会進出

・『ナースのお仕事』(1996) …ドジだけど愛嬌のある主人公

・『やまとなでしこ』(2000) …玉の輿にのるため「男性が望む理想の女性」を演じる女性

・『働きマン』、『ハケンの品格』、『ホタルノヒカリ』(2007) …働き方・価値観の多様化

・『ラスト♡シンデレラ』(2013) …仕事も恋も両方追い求める等身大の女性像

・『わたし、定時で帰ります。』(2019) …仕事は人生の一部としてとらえる生き方

 

なんかが象徴的ですね。

特に注目すべきは2007年。

「女が職場で認められるには女を捨てるしかない」という現実を描いた『働きマン』

増加の一途をたどる派遣社員にスポットをあてた『ハケンの品格』

「仕事はそこそこでいいから家でおいしいビールが飲みたい」というOLの日常をゆる〜く描いた『ホタルノヒカリ』

これ、ぜんぶ同じ年に放送されていたんですね〜。

 

ヒットメーカー・野木亜紀子氏のスゴさ

最近では、やはり野木亜紀子さんの脚本は抜群です。

『逃げるは恥だが役に立つ』(2016)では専業主婦の対価やさまざまなジェンダーバイアスを、

『アンナチュラル』(2018)では社会にはこびる女性蔑視と、違和感をはっきりと言葉にできる自立した女性像を見せてくれました。

 

世の中の人が感じている鬱憤を、目に見える形にして台詞に落とし込むのが本当に上手い。

それでいて説教臭くないから、スッと入ってくるんですよね。

また、最近では、『あなたの番です』(2019)でSNSの考察ブームが社会現象になるなど、時代とともに新たなテレビドラマの楽しみ方が登場していることにも注目しています。

 

*****

 

というわけで、以上、「私がテレビドラマを観る理由(1)〜(3)」は

(1)受動的であるがゆえの出会い

(2)第三者視点のメッセージがある

(3)時代背景が投影されている

でした。

 

続きの

(4)共感力・想像力が養われる

(5)演者に対するリスペクト

は、後編でご紹介します。

 

 

続きはコチラ☆

昨今の若者に伝えたい、テレビドラマ5つの魅力【後編】
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