初校・再校・校了、会社によって呼び方違いすぎ問題

編集・文章術
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書籍や雑誌、広告制作において、「テキスト、写真、イラストなどの素材(パーツ)を組み合わせて配置し」、「修正を繰り返しながら完成形に近づける作業」を行います。

前者は「レイアウト」、後者は「校正」などと呼ばれていますね。

そして、校正を行うための最初の原稿用紙を「初校」といいます。

しかし困ったことに、会社によってどの段階を「初校」と呼ぶのかはまったく異なるもの。

入社したばかりの会社や、初めて取引する会社で「???」と混乱してしまう人も多いのではないでしょうか。

 

そこで、「初校」や「再校」、「校了」など、迷いやすい用語の使用パターンについて考えてみました。

 

一般的な雑誌制作の場合

 

まずは、最もオーソドックスであろうパターンから。

基本的に「初校」「再校」とは、印刷所から刷り上がってきた原稿のことを指します。

最初に刷り上がってきた原稿が「初校」、修正依頼をして2回目に刷り上がった原稿が再校。

3回目以降は三校、四校、五校……と続き、校了前の最後の原稿を「念校」といいます。

「校了」とは、「校正完了」の略で、印刷できる状態(これ以上修正が入らない状態)になったということ。

 

そもそも制作の流れがよくわかっていない人は、下記を参考にしてください。

 

【第2回】意外と多い!編集者の仕事内容って?
前回、出版業界の構造と編集者に求められるスキルについて解説しました。 では、編集者は日々どんな仕事をしているのでしょうか? 会社によって進行の方法や、外部スタッフを使う・使わないは異なりますが、おおよそは似たような流れとなっています。

 

ただ、印刷所にデータ入稿する前の、デザイナーがレイアウトを組んだ状態を「初校」と呼ぶ会社もありますね。

完パケ(完全パッケージ)入稿をしている会社に多いです。

出版業界の完パケ入稿とは、データ納品先(出版社や印刷所)に修正作業をさせない入稿の方法をいいます(色校正を除く)。

 

この場合、デザイナーがレイアウトを完成させた状態を「初校」、修正稿を「再校」と呼んだりします。

その後印刷所に入稿するわけですが、完パケだからといって、発売するまで完成形が見られないわけではありません。

データの確認は人の手で行いますので、印刷所の不手際であるはずの文字が消えてしまったり、版ズレが生じたりする可能性もゼロではありません。

また、実際の紙面でどのように色が出るかも確認する必要があります。

 

そのため、印刷所は必ず確認用の刷り上がりを出稿するわけです。

これが「初校」「再校」と続く場合もあるので、ちょっとややこしいですね。

 

「初稿」と「初校」

「初稿」と「初校」はよく似た言葉ですが、実は意味が異なります。

 

初稿……最初の原稿。上の図で言うと、【編集部】デザイン発注→【デザイナー】のときに送る原稿。または、ライターが編集者に送る最初の原稿。

なんだそうです。

 

とはいえ、私は「初稿」という言葉を使っている人見たことありません(漢字の変換ミス以外で)。

なぜなら、「初稿」「再稿」って使い分ける必要性が全くないからです。

何かあればレイアウトに赤入れして戻すし、原稿を送り直す場合は「修正原稿」で事足りますからね……。

 

現場ではあまり使わない気もしますが、一応覚えておきましょう。

 

広告制作の場合

広告制作の場合、言葉の使い方がやや異なり、クライアントが最初にチェックする原稿を「初校」、2回目にチェックする原稿を「再校」と呼びます。

クライアントの最終OKが出たら「校了」。データをクライアントに納品するか、印刷にまわします。

 

広告だけなら上記の通りですが、雑誌の中に広告が入っており、同時進行する場合は言葉の使い方をよく理解しておきましょう。

 

【クライアント初校→校了→データを雑誌のレイアウト上に組み込む→雑誌の初校出稿→校了】

 

のように、「初校」や「校了」が2回訪れるので、頭がごっちゃになりやすいですね。

 

まとめ

上記はあくまで一例なので、スケジュール表をもらったら、「ここで言う『初校』とはどの状態を指しますか?」と確認しておくことをオススメします。

自分では「これが常識」と思っていたことが、場所が違えばまったく通用しないことはよくある話。

ちょっとした行き違いで全体の進行に悪影響を出さないようにするためには、些細なことだと思ってもよ〜く意思疎通することが大切です。