新型コロナウイルスにより、さまざまな立場の人が苦境に立たされています。
まず観光・イベント業、次に飲食業。
なかでも、特に苦しい立場に置かれているのは、派遣社員やパート・アルバイトなど非正規雇用の人々です。
厚生労働省の「労働力調査」によると、非正規雇用の割合は、役員を除く雇用者全体の38.3%(2019年平均)。
リーマン・ショックのときもそうでしたが、有事の際、真っ先に切られるのが非正規雇用の人たちです。
こうした事実から、非正規雇用社員はネガティブなイメージを持たれがち。
「社会の底辺」「自業自得じゃんw」と心無い言葉を浴びせる人もいます。
しかし、メリットを感じて就業している人も少なくありません。
今回は、新ドラマ放送により再び注目が集まる派遣社員について考えてみたいと思います。
そもそも派遣社員って?
新水曜ドラマ「ハケンの品格」放送を前に、ドラマと現実との違いを以下で解説しました。
派遣社員とは人材派遣会社と雇用契約を結び、企業に派遣される社員のこと。
実際に働く企業とではなく、あくまで派遣会社との間に雇用関係があることがポイントです。
給料は時給制。
交通費は長らく実費でしたが、2020年4月に施行された「同一労働同一賃金」により、派遣社員にも交通費が支給されるようになりました(例外もあり)。
応募〜就業開始までの流れ
派遣会社からの電話またはHPで、気になる求人に応募
↓
派遣会社内での選考に通過(即日)
↓
※派遣会社から派遣先に書類を提出(即日〜3営業日程度)
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※派遣先企業との顔合わせ(翌日〜一週間以内)
↓
※合否通知(即日〜3営業日程度)
応募から一週間ほどで決まることが多いのが特徴です。
先に延べた通り、派遣社員と派遣先企業との間に雇用関係はありません。
そのため派遣法第26条第6項では、派遣先企業が派遣労働者を選考し、特定する行為は禁止されています。
「※」で表した部分は本来アウトなのですが、実際には黙認されている状態ですね。
こんな営業担当&派遣先企業はやめておけ!
派遣社員にとって、派遣会社の営業担当は、長く付き合うパートナー。
今後交渉の窓口になってもらわないと困るので、どうせなら仕事のできる人と付き合いたいものです。
最初の段階でふるいにかけられるとしたら、以下の発言をする人には要注意です。
それは、「面接の日取りはいつにしましょうか?」というもの。
「派遣先企業は派遣社員を選考してはならない」ことを理解している担当者なら、「顔合わせ」「面談」「職場見学」といった言葉のチョイスをします。
まあ意味合い的にはどれも同じなんですが、「面接」と言われると、最低限の知識も無い人なのかな?と思っちゃいますね。
派遣先企業も同じです。
複数の派遣会社を呼んで競合する、書類選考や合否の判断に時間をかけるなど、社員の面接と同じように考えている担当者はアウトです。
判断基準としては、連絡がくるスピードですね。
担当者が出張へ行っていたり、忙しかったりといった理由で2〜3日かかってしまうこともありますが、大体は即日で決まります。
一週間以上かかるような場合、他の候補者とふるいにかけていると見てよいでしょうね。
こういうことを平気でするような企業は、働き始めてからも派遣社員に社員と同等の役割を求める可能性が高いです。
安く買い叩かれたくない人は、あらかじめ避けるのが無難です。
続いて、メリットを紹介します。
メリット1:後腐れなく辞めることができる
派遣会社が出す求人では、「短期」「長期」という言葉がよく使われます。
「短期」は1~3ヶ月など、雇用期間が決まっているもの。
繁忙期や、産休中スタッフの代打として働く場合などに多いです。
「長期」は、6ヶ月以上の契約を見越す場合に使われます。
ただし注意点としては、契約は主に3ヶ月更新(初回のみ1ヶ月としていることが多い)であること。
つまり「長期」と言いつつ、都合が悪くなったらいつでも切れるようにしているのです。
これをデメリットと捉える人もいるかもしれませんが、逆に言えば、嫌になったらいつでも辞められるということです。
「一度入ったら長く勤めたい」的価値観を持つ人には合わないかもしれませんが、背負うものが何もないので、気楽ですよ〜。
しかも、契約終了1ヶ月前までに、営業担当に「次回の更新はしません」と伝えるだけ。
辞表を書いたり、辞める理由をくどくど説明したりする手間は一切ありません。
メリット2:自分の市場価値がわかる
ひとつの会社に長く勤めていると、「自分はこの会社以外では通用しないんじゃ……」と不安に苛まれることもあると思います。
しかし、いろんな会社と転々としていると、人からほめられるポイント・注意されるポイントがわかってくるので、自分のことをより客観的に分析できるようになります。
ちなみに自分で言うのもなんですが、私は「仕事のできる人」と扱われることが多いです。
もちろん、すべての会社で重宝されるわけではありません。
そんなときも、「ああ、この会社とは合わなかったんだな」で終了です。
こんな自分でも評価してくれる人がいることを知っているので、必要以上に「私ってダメな奴なのかも……」と落ち込むことはないのです。
メリット3:わずらわしい会議や飲み会への出席は不要
ある意味最大のメリットといえるでしょう。
そもそも飲み会に声を掛けられること自体が少ないので、断る手間も省けます。
まあ会社によりますけど。
過去に一社、「我が社は社員と派遣社員とを区別しないんです(キリッ)」とのテイでイベントへの参加を促してきた人が居ましたが、じゃあボーナスくれよって話ですよね。
あと以前、バレンタインデーに男性社員にチョコを贈るからといってカンパを募られて、面倒臭いから断ったんですよ。
そしたら男性社員がホワイトデーに私の分までお返しを買ってきて……まあ私だけ無視するわけにもいかなかったんでしょうが、大変気まずい思いをしました。
ときには職場の風習に乗っかることも大事だなぁと胸に沁みましたね。
メリット4:フリーランスとの両立が可能
以前派遣会社のコーディネーターに聞いたのですが、最近フリーランスと派遣を兼業する人が増えているようです。
私もここ数年、フリーランスの仕事が忙しい時期には専念して、暇になったら働きに出て……とかなりユルイ感じでやっています。
ひとりで自宅仕事をしていると
・孤独
・見た目に気を使わなくなる
・人と会話せずコミュニケーション能力が低下
・情報が偏る
などの弊害がありますが、これらを解消できるので、それなりにメリットは感じています。
メリット5:次の仕事もすぐに見つかる
短期間で転職を繰り返す=履歴書を汚すと転職に不利、とは昔から言われていることです。
しかし、正社員にこだわらないのであれば、まったく気にする必要はありません。
派遣社員に求められるのは、「業務に応じたスキル」と「必要最低限のコミュニケーション能力」。
実際、私は30代前半でこれまで9社に就業していますが、有り難いことに仕事に困ったことはありません。
「次の仕事がすぐに見つかる」ということは、つまり「今の職場に媚びる必要がない」ということ。
それは、理不尽なことを要求されたとき、毅然と立ち向かえる力になります。
ただし今はコロナの流行により、仕事数が激減しているのは事実。
転職は計画的に行ないましょう!
派遣社員のデメリットは?
これはよく言われていることなので、サラッといきます。
- 不安定
- 社会的信用が低い
- ボーナスがない
- 昇給がない
- 退職金がない
- 社員が自分よりも使えない
冒頭で延べた通り、業績が悪化したときなどに、派遣社員が真っ先に人員整理の対象となります。
また、正社員に比べるとローンが組みにくく、賃金格差が大きい点を見ると、家計を支える力としては弱いことは否めません。
あと、営業担当が自分の代わりに交渉してくれるといっても、元々気が弱い人だと会社の言いなりなので、闘う術を身につけることも重要ですね。
まとめ
派遣社員のメリット、デメリットについて述べてきましたが、「正社員か派遣社員か」の二択はハッキリ言って古いです。
正社員であれ派遣社員であれ、「収入源がひとつしかない」ことは、これからの時代、デメリットでしかありません。
副業を始めるなど、複数の収入源を確保することが、混沌とした時代のリスクヘッジとなるでしょう。
大切なのは、スキルを磨き、自分の軸をしっかりと持つこと。
数ある収入源のひとつとして考えれば、派遣社員自体にデメリットはそれほど無いと個人的には感じるのですが、いかがでしょうか。