今は誰でも自分のメディアを持てる時代。
そのひとつが、世界最大の動画共有サービス・YouTubeです。
一般人でもタレント顔負けのルックスや人気を誇る方はたくさんいて、「プロ」と「アマ」の境界線は年々曖昧になりつつあります。
同じく「ライター」も、WEBメディアやSNSの発達により、かなり気軽に名乗れるようになりましたね。
生粋のテレビっ子としては、数多くの動画投稿に対して「やっぱり素人だな」と感じる点は否めません。
そして、その素人臭さは、スキル不足の「なんちゃってライター」と似通っていることを発見。
3つ紹介します。
その1:定型文の挨拶
YouTube動画の導入部分の定番といえば、若手漫才師風の「はいどーもー!」か、「こんにちは、〇〇です」という自己紹介形式の挨拶。
しかも、早口で何を言っているのか聞き取れないので、入れる意味あんのかな?
多くの場合、特に印象には残らないですね。
これは、毎度「こんにちは、〇〇です」から書き始めているブログと全く同じ傾向といえるでしょう。
「弁護士の〇〇です」など、肩書を入れることでその後の解説に説得力を持たせる効果は期待できるかもしれませんが、別にド頭である必要はありません。
ましてや、謎のペンネームを名乗られても……
お前が誰かなんてどうでもいいんだよと私は思いますが、安易にコレを行っている人は非常に多いですね。
百歩譲ってブログなら投稿主の好きなように書けばいい話ですが、この悪習はWEB記事にも及んでいます。
以前知り合いのライターから聞いた話ですが、普通に記事を書いて納品したところ、編集担当が勝手に
「こんにちは、佐藤(仮名)です」と書き足して公開したのだとか。
タイトルとリードは、本文へ導入するための大事な「つかみ」。
ライターは、ここに命をかけているといっても過言ではありません。
無意味な挨拶を勝手に書き足すなんてもってのほかですね。
文章の書き出しはどうすればいいの?
定番は、①要約型か②投げかけ型です(勝手に命名)。
このブログの冒頭では、「現代人にとってのYouTubeの位置づけ」を要約することで、「何について書かれた文章か」をひと目でわかるようにしています。
投げかけ型は、「あなたはYouTubeをどんなときに観ますか?」など、質問を投げかける手法です。
こちらのほうが難易度は低めです。
読み手との距離をグッと縮めるイメージですね。
この2つのどちらかを使えば、そう失敗はしないでしょう。
あまり奇をてらうのは初心者にはおすすめしません。
その2:無駄が多い
素人とプロの違いを最も感じるのは、「間」の使い方。
特にオリエンタルラジオのあっちゃんは圧巻ですね。
緩急のつけ方も絶妙で、聞き手を飽きさせないテクニックが満載です。
一方、あっちゃんと比べるのは酷ですが、YouTuberの動画は、やはり単調な印象を抱きます。
早送りしたくなるほどに。
最も気になるのが、手の動き。
話している最中に顔をかいたり、目をこすったり。
顔のまわりで手を動かされると、つい目で追ってしまうものです。
これでは、気になって内容が頭に入ってきませんね。
文章に置き換えると、「回りくどい言い回し」がこれにあたります。
冗長な文章だと、本当に伝えたいことが読み手に伝わりません。
なるべくスリムな文章を心がけましょう。
特に、以下に当てはまる文章を書いている人は要注意です。
(1)一文が長い
(2)逆のことを言っている訳でないのに「〜ですが、」でつなぐ
(3)「〜ということ」「〜というのは」のオンパレード
(4)接続詞の多用
(5)指示語の多用
冗長な文章とは?
上記(1)〜(5)の例で解説します。
YouTubeはお気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードして友だちや家族、世界中の人たちと共有できるというサービスですが、最近は芸能人の参入も話題になっています。
まずは、(1)一文の長さを改善します。
添削例
YouTubeはお気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードできるサービスです。動画は友だちや家族、世界中の人たちと共有できますが、最近は芸能人の参入も話題になっています。
「動画を世界中の人と共有できること」と「最近芸能人が参入していること」は相対関係にありません。
よって、(2)「ですが」でつなげるのは止めましょう。
添削例
YouTubeはお気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードできるサービスです。動画は友だちや家族、世界中の人たちと共有できます。最近は芸能人の参入も話題になっています。
(3)「〜ということ」、(4)接続詞(また、そして、つまり)、(5)指示語(この、あの、その、どの)の多用は、極端にやると以下のような文章です。
YouTubeというのは、お気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードできるというサービスです。そして、その動画は友だちや家族、世界中の人たちと共有できます。また、最近は芸能人が参入しているということも話題になっています。
なくても意味が通じる言葉を削除すると、グッと読みやすくなります。
その3:「好きなことを仕事に!」とか言っちゃう
最近は「好きなことを仕事にしよう!」という風潮が強まっていますね。
YouTuberやライター、ブロガーになりたい人も、その傾向が強い気がします。
別にそれ自体についてとやかく言う気はありませんが、「なんだかなぁ……」と感じた象徴的なシーンがあったのでご紹介。
マツコ・デラックスさんの司会で、若いWEBライターについて紹介している番組がありました。
皆、少し変わった趣味を持っていて、好きが講じてライターの仕事を始めたようです。
そのうちの一人が、自分のマニアックな趣味について、熱くマツコさんにプレゼンし始めたんですね。
すると、マツコさんは「圧が強すぎて怖いです〜。興味のない人へのプレゼンはもっとソフトなほうがいいと思いますー」
と、若干茶化すように言ったんです。
たぶん、テレビ的に面白くしたかったのと、あの人も元々編集者だから、この仕事のことはよくわかっていると思うので。
そのライターから返ってきた答えは「じゃあいいです」。
わかってくれないならこっちから願い下げです、といったところでしょうか。
まぁその方の真意はわかりかねますが、我々の仕事は「ユーザーに役立つものを届ける」ことが基本です。
「自分の好きなことを発信したい」だけでは、ただの排泄行為です。
影響力のある人なら別ですが、そこんとこお忘れなく。
まとめ
最後についてはマインド的な話なので、投稿を続けていくうちに意識も変わるかもしれません。
偉そうに言いましたが、入口はそれぞれの自由だと思います。
私も、編集者になりたいと思った理由のひとつは「芸能人に会いたい」だったし……。
その1とその2は、練習を重ねれば誰でも改善可能です。
色々な人の文章を読むなどして、研究してみてくださいね。