不動産情報サービス事業を手掛ける株式会社LIFULL(ライフル)。CMの影響から「住まい探し」のイメージが強いですが、空き家や地方創生、LGBTQなどの社会課題解決に向けた取り組みにも力を入れています。
そんなライフルが運営するWEBメディア、「LIFULL STORIES」の取材記事執筆を担当させていただきました。
家族のお世話をする子どもたち
LIFULL STORIESは「しなきゃ、なんてない。」をコンセプトに、世の中の既成概念にとらわれない暮らしを送る人々にスポットを当てたメディアです。
家族やジェンダー、働き方など、私たちの周りは「こうしなきゃ」という呪いに溢れています。しかし、自分らしく生きる人たちの考えを共有してもらうことは、多様な生き方を選択するうえでヒントになるはずです。
私が今回執筆したテーマは「家族」。介護者の低年齢化から浮かび上がる、日本の家族に対する根強い既成概念とは……。
この記事で紹介している世間のよくある「偏見」は主に3つ。
- ヤングケアラーは可哀そうな存在
- 家族の問題は家族で解決すべき
- 悩み事を相談されたら解決してあげなくてはならない
さて、どういうことなのでしょうか?
ヤングケアラーは可哀そう?
「ヤングケアラー」とは、家族の介護やケアなど身の回りの世話を行う18歳未満の子どもを指します。大人が担うべき役割を成長段階にある子どもが担った場合、学校に行けなかったり、友達と遊べなかったりと、教育やコミュニケーションの機会を享受できないことが社会的問題となっています。
しかし、当の本人にとって親やきょうだいの面倒を自分が見ることはごく自然な行為。「可哀そう」「支援の対象にしなくては」と周囲が勝手に決めつけると子どもの心を閉ざしてしまうことになりかねませんので、慎重な対応が求められます。
下記は今回、取材にあたって参考にした書籍。一口にヤングケアラーといってもケースバイケースなんだな、と参考になりました。
家族の問題は家族で解決すべき?
さらに、ヤングケアラーを追い込む可能性があるのが「困ったときはまず家族に頼るべき」「家族の問題は家族で解決すべき」という概念。
特に日本では、介護の話は公の場でなんとなくしづらい風潮があります。
過去、ヤングケアラーが出口の見えない介護の末、親を殺害してしまう悲しい事件が話題になりました。そんなときでも聞こえてくるのは「親戚は何をしていたんだ」と身内を責め立てる声。
家族じゃなくてもいいから、たった一人でもいいから、安心できる居場所があればいい。だれかのセーフティーネットになるためには、できるだけフラットな視点を持ち続けることが大事なのかもしれません。
相談されたら解決してあげるべき?
最後はコレ。支援者や福祉の専門家の間でもよく起こる勘違いのようです。
身近でよくありますよね。女性側は共感を求めているのに男性側が見当違いのアドバイスをするっていう。
私もあんまり人のことを偉そうに言えませんが、なんでこんなすれ違いが起きるかというと、次のような理由が多いんじゃないかと想像します。
- 良い意見を言って「スゴイ奴」だと思われたい
- 相手を論破して優越感に浸りたい
- 自分と違う意見は受け入れられない(相手の感情が理解できない)
いずれもベクトルが相手ではなく自分に向いています。
インタビューイの大空さんが「(死を考えるほどの)悩みには複合的な要因が絡んでいるもので、そのすべてを解決することなんてできない」と仰っていましたが、まさしくその通り。
つまりアドバイスをする=自分なら解決できるかもしれないと思っている可能性が高く、なかなか傲慢と言えるでしょう。
「解決してあげたい」と思うことも一種の優しさかもしれないけど、そういう人は「私なりに思ったことを言ってもいいかな?」とか「役に立つかわからないけれど……」とクッション言葉を挟みますからね。
最後は愚痴っぽくなってしまった!
望まない孤独を社会からなくすために
今回の記事は若者が抱える「望まない孤独」がテーマですが、きっと大人でも共感できる部分があるのではないでしょうか。
家族の問題について、もっとオープンに話し合える社会が少しずつ形成されていくことを願ってやみません。
ぜひご覧いただけたら幸いです。