【第3回】本づくりに欠かせない「ラフ」の書き方

“編集力”を鍛える!
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第1回・第2回と、前置きとなる出版業界の構造と仕事の流れについて紹介してきました。

【第1回】出版業界の構造と編集者の必要スキル
はじめに。巷では、「文章の書き方」「SEOライティングのコツ」といった情報が溢れています。ライターになりたい人、ブログを書きたい人にとってはよい時代といえますが、逆に、情報が多すぎて困るといったこともあるかもしれません。 一方、「...

 

【第2回】意外と多い!編集者の仕事内容って?
前回、出版業界の構造と編集者に求められるスキルについて解説しました。では、編集者は日々どんな仕事をしているのでしょうか?会社によって進行の方法や、外部スタッフを使う・使わないは異なりますが、おおよそは似たような流れとなっています。...

 

今回からは、実践的な技術について紹介していきます。

 

本づくりのカギを握るといってもよい「ラフ」。

実は私自身、誰かにしっかりと書き方を教わったことはありません。

意外かもしれませんが、「編集者」という人種は、物事をロジカルに説明することを苦手とする人が多いという背景があります。

 

一方で、「絶対的なルール」があまりなく、「正解」が存在しないので説明しづらい、といった理由も。

とはいえ、ラフを書くのが初めての人や不慣れな人が「とりあえず書け!」と言われても困ってしまいますよね。

そこで、きれいなラフを書く上で、できる限り押さえておいたほうがよいポイントを抽出しました。

 

ラフを制するものは本づくりを制す?

ラフを書く目的は、デザイナーにデザインを組んでもらうことにあります。

そのため、極論を言うと、デザイナーに意図が伝わればそれでOKなのです。

 

実際、ラフの書き方というものは10人10色。

雑な人、細かく書き込む人、ほぼ口頭で説明する人……

 

私個人の意見としては、なるべくきれいに整理して渡すべきと考えています。

理由は3つ。

 

(1)考えも価値観も違う人間同士だから

(2)すぐ忘れるから

(3)何度もやり直しになるのを防ぐため

 

ラフはコミュニケーションの一種

例えば、「青をイメージしてください」と言われたとします。

人それぞれ、思い浮かべる「青色」は違うはずです。

自分は淡い水色を思い浮かべていたけれど、デザイナーの頭の中では群青色になっているかもしれません。

そこで、イメージだけでは足りないものを補うのが「言葉」です。

 

「夏に発売するから、清涼感のあるデザインでお願いしたいです」

とかね。

 

長年一緒に仕事をしていて、信頼関係が出来上がっているのなら話は別ですが、イメージや考えは、自分で思っている以上に相手には伝わっていません。

また、口頭で伝えても、人はすぐ忘れてしまうので、なるべくラフに書き起こしておくのがオススメです。

 

あと、厄介なのが、「おまかせしま〜す」と言いつつ、結局まかせられない人。

デザインは半日かそこらで完成するものでもありませんので、何度もやり直しすると、その分スケジュールも遅れていきます。

おまけに、「自分で決められないくせに文句が多い人」というレッテルを貼られることにもなりかねません。

 

以上の理由から、なるべく最初にきちんと話は詰めておきましょう。

 

STEP1:まずは全体の流れを決める

 

企画が決まったら、その後行うのが「大ラフ」づくりです。

大ラフとは、全体の流れやページ構成をざっくりと決めたもの。

上の図を使うと便利です。「ページ割り」「サムネイル」なんていう言い方もしますね。

 

仮に、「全国のお花見スポットを紹介する本」としましょう。

以下のように大ラフを作成してみました。

 

 

P2の「扉」とは、企画ごとの表紙のような役割をするものです。

この本のメインとなるのは、P5〜P16のスポット紹介。ここまでがひとつのブロックです。

P3-4は序章(前置き)の役割、P17-18は箸休め的なオマケページにすることにしました。

メモやイラストなどを適宜入れておくとわかりやすいです。

 

STEP2:ページの必要要素を階層ごとに分ける

 

流れを決めたら、目玉となるページから取り掛かることにします。

P5〜P16では、その地域の花見の定番である名所と、混雑を避けられる穴場スポットをそれぞれ紹介することにしました。

 

企画にもよりますが、ラフには大体上の図の要素がそろっていれば大丈夫です。

それぞれの役割について解説します。

 

 

ページタイトル……そのページのコンセプトを一言で表したもの。なるべく短めの言葉で、語呂を意識する

 

キャッチコピー(タイトルキャッチ)……タイトルの補足説明や、賑やかしの意味合いで使われる。また、タイトルだけが同じQ数(文字の大きさ)で置いてあると、のっぺりとした印象になる。Q数を下げたキャッチを近くに置くことで、視覚的にメリハリが生まれる効果もある

 

リード……企画の趣旨説明。あまり長すぎると意味をなさないので、80〜120文字程度に収めるのが望ましい

 

見出し……キャッチ、キャッチコピーともいう。タイトルよりも一段下の階層となる

 

小見出し……本文の内容を短い言葉でまとめたもの

 

コラム……絶対に必要というわけではないが、入れることで誌面全体にメリハリが生まれる。こぼれ話や豆知識など、箸休め的なネタを入れる

 

 

ここで重要となるのが各カテゴリの階層です。

 

 

この本の大テーマは「全国のお花見スポット」。

その次の「親」となるテーマが「エリア」、「子」となるテーマが「定番スポット」「穴場スポット」……

という感じで、階層を分けてみましょう。

 

慣れるまで、少し大変かもしれません。

「ここで一番伝えたいことは何か?」「その次に伝えたいことは?」を自分に問いかけるのがポイントです。

もちろん、「見出し」と「小見出し」の間に階層がひとつ増えても構いません。

 

STEP3:書き起こす

 

こうして完成したのが上のラフです。

ちなみに、ラフは手書きでもいいですし、パワーポイントなどソフトを利用してもOK。自分がやりやすい方で構いません。

 

ラフの時点で小見出しの言葉まで決めておく必要はありませんが、タイトルと見出し、写真点数は決めておきましょう。

タイトルや見出しは、わかりやすいようにあえて簡素にしていますが、エリアごとの特色などを加えると、見ている人の興味をひくことができます。

 

例)

・「インスタ映え必死!行列ができる桜並木」

・「映画の舞台となった知る人ぞ知る名所」

・「行かなきゃ損!の定番スポット」

 

 

結局、企画が大事!

すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、最初の企画がブレブレだと、よいラフは書けません。

外部スタッフとして仕事を受注している場合は特に、この辺りのことを担当者とよく確認するのがオススメです。

 

また、ラフを書くことに慣れていない人は、類似本をたくさん見て研究するとよいでしょう。

真似は上達への近道!他の人の良いところはどんどん盗んで、自分の肥やしとしてくださいね。

 

 

 

 

 

 

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