両親との関係が子どもに与える影響は、非常に大きいといわれています。
特に毒親に育てられた人や、偏った教育をされた人ほどその呪縛は強力で、大人になっても植え付けられた思い込みはなかなか消えないもの。
本人たちは無意識だから余計恐ろしいんですよね。
例えば、誰でも一度は言われたことのある「お手伝いしなさい!」という言葉。
実はこれも、親から子どもへ初期に植え付けられる「呪縛」のひとつであると、先日とある塾講師の方とお話していて気が付きました。
お手伝いは、社会貢献への第一歩
事のきっかけは、ある仕事で幼稚園受験に携わっていたとき。
幼稚園や小学校受験で行われる面接では、「家でお手伝いをしていますか?」という類の質問が、教師から子どもに投げかけられるようです。
私はいわゆる「お受験」とは縁がないですし、質問の意図がよくわからなかったので、その講師の方に率直に聞いてみたんですね。
「そもそも、どういう子ども像が求められているんですか?やっぱり“いい子ちゃん”じゃないと入学できないんですか?」と。
日本って、個性を伸ばすことよりも協調性や従順性が求められるじゃないですか。
正直、ほかの想定問答集を見ても、この質問をすることに何の意味があるんだ?子どもはこの学校に入って伸び伸び生活できるのか?と感じていました。
でも、返ってきた答えは私の予想だにしないものでしたね。
家庭は、社会の最小単位。
お手伝いをすることは、家族の一員として共同生活をする上で必要なもの。
それは、学校生活で友達と協力したり、大人になってから社会に貢献したりする上で、土台となるものなの。
だから、日頃からお手伝いをさせていないことが明らかなご家庭は、幼稚園の教育方針からすると疑問符がつくよね。
自分のおもちゃを自分で片付けるのはお手伝いじゃないよ。
なるほどー!
家族という共同体を運営していくにあたり、子どもが自分の役割を果たす行為が「お手伝い」なのですね、先生。
でも、次のように考えている家庭はかなり多いんじゃないかと思います。
①「お手伝いはするもの」
「なんでお手伝いしなきゃいけないの?」と子どもに聞かれて、「そういうものだから」と答えるパターンです。
理由になってないですね。
こういう親に育てられた場合、子どもは自分で考える力を無くします。
就職活動でも、グループワークになると、なぜか皆リーダータイプになろうとしますよね。
「そのほうが面接官にウケがいい」と考えるから。
余談ですが私グループワーク大嫌いでしたー。
②女の子だから
①と似てますね。実際私もこう言われて育ちました……。
男だったらやらなくていいんかいっていう。
③行為自体に意味を持たせる
これは「料理」や「掃除」をすること自体に価値を持たせるイメージですね。
自立を目的としているので、ダメってわけではない気がしますが、根本的な理由とはいえないでしょうね。
④対価としてお小遣いを渡す
これはどうなんでしょう?
賛否ありそうですが、「家庭=会社」と考えるなら、経営者(親)が従業員(子ども)に対価を払うのはアリな気がします。
ただ、「家族全員が共同経営者」という考え方もありますよね。
また、きちんとお手伝いをする理由を説明できないと、「見返りがないと動かない人間」になりそうです。
臨床心理士にも取材した
お手伝い一つとっても、幼少期に親からどう言われていたか?によって、その後の人生はまるで違うものになるでしょう。
この話とは関係ありませんが、「教えて!gooウォッチ」で、「嘘をつく子どもの心理」に関する記事を執筆しました。
日常的な嘘には、子どもからのSOSが隠れているようです。
小学生のとき、クラスに一人はよく嘘をつく子がいました。
「うちの近所に○○○(芸能人)が住んでいる」「芸能人のサインを持っている」など。
なんでそんな嘘をつくのか意味不明でしたが、取材を通じて、「注目を浴びたかったのかなぁ」「親御さんに認められていなかったのかな」と、当時のことを思い出しました。
子どもを育てるって責任重大!
私は昔から子どもを生みたいと思ったことは一度もないのですが、まわりの友人がアクセサリー感覚で「子どもほし〜」と言うのを聞く度に、本当に疑問だったんですよね。
自分の不用意な一言が、一人の人間の一生を左右してしまうかもしれないのに、怖くないのかな?と。
そういう人たちは、自分が親からどういう影響を受けているのかを考えたことがないので、親から言われたことをそのまま自分の子どもに言ったりします。
それが幸せな連鎖だったらよいですが、負の連鎖はどこかで断ち切らなくてはいけませんね。